猫の乳腺腫瘍を解説
以前、犬の乳腺腫瘍について解説させていただきましたが、今回は猫の乳腺腫瘍について犬との違いなども含めて解説いたします。
猫の乳腺腫瘍は猫に見られる腫瘍の中で比較的多いもの一つで、特に避妊のメス猫に多く発生します。良性と悪性もありますが、猫では約85〜95%が悪性と言われているため、早期に発見し、適切な治療を受けることがとても重要です。
主な特徴
- 乳腺は猫の腹部に沿って左右対称に4対あります。腫瘍はこれらの乳腺にできることが多いです。乳腺近くにしこりや硬い塊が見られることが多く、痛みや炎症を伴うこともあります。
- 猫の乳腺腫瘍は進行が早い傾向があり、他の臓器への進行が早く起こります。
原因とリスク要因
- ホルモン
乳腺腫瘍の発生にはホルモンが関与していると考えられ、早期に避妊手術を行うことでそのリスクが大きく軽減することが知られています。猫では避妊手術のタイミングが非常に重要で、発情後に避妊した場合でも多少のリスクが残ります。 - 年齢
乳腺腫瘍は一般的に中年から高齢の猫に多く見られます。特に10歳以上の猫で発生率が高いと言われています。
猫の避妊手術についてはこちらのコラムでも詳しく解説しています。
よくある症状
- 乳腺に腫れやしこりがある
- 周囲の皮膚が赤くなったり、潰瘍が変化したりする
- 元気がない、食欲が減少する
- 呼吸が荒くなる(肺への転移が進んだ場合)
治療
- 外科手術
悪性の場合、腫瘍の摘出が最も一般的な治療法です。腫瘍が小さいうちに手術を行うことで、予後が良くなることが期待されます。 - 化学療法
腫瘍の性質や進行度によっては、化学療法が併用されることもあります。 - 放射線療法
他の治療法が難しい場合に検討されることがあります。
まとめ
猫の乳腺腫瘍の予後は、腫瘍の大きさや進行度、転移の状況によって大きく異なります。悪性腫瘍の進行が早いため、早期発見と早期治療が重要です。 乳腺腫瘍のリスクを減らすためには、猫が若いうちに避妊手術を行うことが有効です。
岡部獣医科病院では、年間1000件以上もの避妊手術を行なっております。猫の乳腺腫瘍は進行が早いので少しでも気なる点がございましたらお気軽にご相談ください。