犬が嘔吐した場合に考えられる病名や疾患はいくつかあります。
その中で消化器系のトラブル、胃腸炎があります。胃腸炎と言っても、原因はひとつではなく様々な要因があります。
今回は感染性胃腸炎についてお伝えします。
感染性胃腸炎の原因
- ウイルス
パルボウイルス、コロナウイルス、ロタウイルスなどが主な原因となります。特にパルボウイルスは子犬に重篤な症状を引き起こすことがあります。
- 細菌
サルモネラ、カンピロバクター、エシェリヒア・コリ(E. coli)などが感染源となります。これらの細菌は汚染された食べ物や水を介して犬に感染します。
- 寄生虫
ジアルジア、コクシジウム、回虫などの寄生虫も胃腸炎の原因となります。これらは感染動物の糞便を介して広がります。
感染性胃腸炎の対処法
犬の感染性胃腸炎の対処方法は、原因となる病原体に応じて異なりますが、一般的な対処法とケアについて以下に詳しく説明します。
1. 診断
- 動物病院への受診
犬が嘔吐や下痢を繰り返す場合、まず動物病院を受診し、正確な診断を受けることが重要です。診断には糞便検査、血液検査、場合によってはレントゲンや超音波検査が行われることがあります。
2. 感染性胃腸炎の治療
- ウイルス性胃腸炎
- パルボウイルス: 治療は主に支持療法(補液、電解質の補充、抗生物質の投与)を行い、脱水や二次感染を防ぐことが重要です。入院治療が必要な場合が多いです。
- コロナウイルス: 軽度から中等度の症例では自宅療養が可能な場合もありますが、脱水を防ぐための適切な補液が必要です。
- 細菌性胃腸炎
- 抗生物質: サルモネラ、カンピロバクター、エシェリヒア・コリ(E. coli)などが原因の場合、適切な抗生物質の投与が必要です。抗生物質は獣医師の指示に従って適切に投与します。
- 寄生虫性胃腸炎
- 駆虫薬: ジアルジアや回虫などの寄生虫が原因の場合、特定の駆虫薬を使用します。駆虫薬は寄生虫の種類に応じて選択されます。
3. 支持療法
- 補液療法: 嘔吐や下痢による脱水を防ぐため、静脈点滴や皮下点滴が行われることがあります。軽度の場合は経口補水液を使用することもあります。
- 絶食と少量の食事: 胃腸を休ませるために、短期間の絶食(12-24時間)を行い、その後、少量の消化に優しい食事(特別な療法食や自家製の鶏肉とご飯など)を与えます。
- 制吐剤と抗下痢薬: 嘔吐や下痢が続く場合、制吐剤や抗下痢薬が処方されることがあります。
4. 自宅ケア
- 休養と安静: 犬に十分な休養を与え、ストレスを最小限に抑えることが重要です。
- 清潔な環境: 感染拡大を防ぐため、犬の生活環境を清潔に保ちます。糞便の処理は迅速に行い、犬の寝床や食器なども定期的に洗浄・消毒します。
5. 予防
- 予防接種: パルボウイルスやジステンパーウイルスなどの予防接種を適切に行うことで、感染性胃腸炎のリスクを減らすことができます。
- 定期的な健康チェック: 定期的に動物病院で健康チェックを受け、早期発見・早期治療を心がけます。
- 寄生虫予防: 定期的な駆虫や予防薬の投与を行い、寄生虫感染を防ぎます。
犬が感染性胃腸炎にかかった場合、早期の診断と適切な治療が重要です。症状が続く場合や悪化する場合は、すぐに獣医師に相談してください。
〜岡部獣医科病院〜
岡部獣医科病院は昭和21年に開院した動物病院です。
ペットとその家族が最良と思える治療へ導くことを心がけています。 次世代の獣医師教育にも力を入れ、スタッフそしてその家族も幸せになれる病院を目指しています。