犬猫が足をひきずっていたら?考えられる原因と対処法
犬や猫が足をひきずっている様子を見かけたら、飼い主としてはとても心配になりますよね。実は、「足をひきずる」という行動の裏にはさまざまな病気やケガが隠れている可能性があります。今回は、犬猫が足をひきずる原因と考えられる主な病気や状態について、わかりやすく解説します。
足をひきずるときに考えられる主な原因と特徴
① ケガ(打撲・捻挫・骨折・裂傷)
- 突然痛がる、腫れている、足を地面につけない。
- 足をつけていれば骨折の可能性は比較的低いですが、確実ではないため注意が必要です。
②関節や靭帯のトラブル(膝蓋骨脱臼、前十字靭帯損傷など)
- スキップするような歩き方、あるいは足を地面につけられない。
- 特に前十字靭帯損傷では、足を地面につけられないことが多く見られます。
③神経系の異常(椎間板ヘルニア、脊髄損傷など)
- 足のふらつき、麻痺、痛がる様子がある。
- 排尿異常が出ることもあります。
④関節炎(変形性関節症など)
- 高齢の子に多く、動き始めがぎこちない。
- 寒い日や運動後に悪化しやすい。
⑤自己免疫疾患(多発性関節炎、リウマチなど)
- 若い子にも発症することがあり、複数の関節に腫れや痛み、発熱や体調不良を伴うことがあります。
⑥肉球や爪のトラブル(外傷、異物、過長爪など)
- 足をなめる、歩きたがらない。
- 爪が割れている
- 足の裏が赤い・腫れている。
⑦心臓病・筋肉の病気(特に猫)
- 肥大型心筋症による動脈血栓塞栓症では、突然後ろ足が動かなくなり、冷たくなる、強い痛みを訴えるなどの症状が出ます。
原因別の対処法
- ケガ(打撲・骨折・捻挫など)
触ると鳴く、腫れている、足を地面につけないなどの症状が見られたら、無理に触らず動物病院へ。骨折が疑われる場合、足を完全につけないことが多く、安静が必要です。 - 関節や靭帯のトラブル
膝蓋骨脱臼や前十字靭帯損傷は、基本的には外科的処置(手術)が検討されることが多いですが、症状の程度や年齢などによっては内科療法での管理が可能な場合もあります。まずは診断を受け、適切な治療方針を獣医師と一緒に決めましょう。 - 神経系の異常
ふらつきや麻痺の症状が進行する前に安静が必要です。重症の場合は手術が必要になることもあり、早期発見・治療が重要です。 - 関節炎
体重管理、関節用サプリメント、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)などによる内科的管理が主です。寒冷期や運動後に悪化するため、無理のない範囲で生活環境を整えましょう。 - 自己免疫疾患
多発性関節炎やリウマチなどは、免疫抑制剤などを用いた内科的治療が中心です。再発を防ぐため、継続的な通院と投薬管理が必要になります。 - 肉球や爪のトラブル
出血や異物、腫れを確認し、無理に除去せずに病院へ。特に爪の裂傷や異物混入などは家庭での処置は避けてください。 - 心臓病・筋肉の病気
猫で後ろ足の麻痺や冷たさ、強い痛みが急に現れた場合、動脈血栓塞栓症の可能性があります。緊急対応が必要なため、ただちに動物病院を受診してください。
すぐに病院を受診すべきサイン以下のような症状があれば、すぐに動物病院を受診しましょう。
- 足をまったく地面につけられない。
- 痛みで鳴く・噛もうとする。
- 足が冷たくなっている。
- 歩き方がおかしい状態が数日続く。
- 排尿・排便に影響が出ている。
飼い主さんが自宅でできること(応急対応)
- 無理に歩かせない
- 移動は抱っこやキャリーで
- 患部を冷やす(外傷や腫れがある場合のみ)
- ケージやサークルで安静にする
- 異物が刺さっている場合は、無理に取らない
腫れや打撲に対して冷却が提案されることもありますが、明確なエビデンスがあるわけではありません。迷った場合は冷やさず、獣医師の指示を仰ぎましょう。
犬猫の足をひきずる症状は、見た目以上に重大な病気のサインであることもあります。早期発見・早期治療がとても大切ですので、「ちょっと変かな?」と思った時点でお気軽に岡部獣医科病院までご相談ください。



