猫の流涙症(涙やけ)の原因と対策。短頭種の特徴から最新ケアまで解説


「愛猫の目の下がいつも濡れている」「茶色い目やにがすぐに溜まる」……。 猫ちゃんにおけるこうした状態も、犬と同様に「流涙症(りゅうるいしょう)」と呼ばれます 。

流涙症は単一の病名ではなく、「涙が目の外にあふれてしまっている状態」を指します 。猫の流涙症は、一つの原因だけでなく、複数の要因が複雑に重なっているのが特徴です 。

1. 涙があふれる仕組みと猫特有の背景

涙は本来、目を潤したあと「涙点」から「鼻涙管」を通って鼻の中へ排出されます 。この流れがスムーズにいかなくなると、涙が顔にあふれ出し、被毛を濡らしてしまいます 。

特に猫ちゃんの場合、顔や鼻涙管の構造そのものが関与しているケースが少なくありません 。

2. 当院での診察:5つのチェックポイントと対応

当院では、流涙症に対して「何を確認し、だから何をするのか」を順番に整理して対応します 。

  • まつ毛や被毛の刺激
    • まつ毛が変な方向から生えていないか、周囲の毛が角膜に触れていないか診察します 。
    • 刺激となっている毛を抜去・調整します。これだけで改善することも多いです 。
  • 目頭(内眼角)の構造
    • 目頭付近のまぶたが内側に巻き込まれていないか(眼瞼内反)を確認します 。
    • 軽度の場合は経過を観察し、手術を急ぐことはほとんどありません 。
  • 涙の出口(鼻涙管)の疎通
    • 染色液を用いて、涙が鼻へ抜けているか確認します。※猫は鼻涙管が通っていても検査が陰性になることが約半数あるため、慎重に判断します 。
    • 必要に応じて段階的な涙管洗浄を行います 。
  • 眼の疾患やウイルス感染
    • 結膜炎、角膜潰瘍、猫ヘルペスウイルスなどの感染症、緑内障などが隠れていないかを調べます 。
    • 原因疾患の治療を優先することで、二次的な流涙も軽減します 。
  • 猫種による構造的な影響
    • ペルシャ、エキゾチック、ヒマラヤンなどの短頭種は、鼻涙管が強く屈曲しており、構造的に涙があふれやすい傾向があります 。
    • 完全に止めることより、日常ケアで皮膚トラブルを防ぐ「コントロール」を目標にします 。

3. よくあるQ&A(猫版)

Q1. 食事で治りますか?

A. 涙の量そのものが激減することはありませんが、涙やけの色が薄くなるケースはあります 。個体差があるため、食事変更はあくまで治療の補助として考えましょう 。

Q2. 涙管洗浄で治りますか?

A. 詰まりが原因なら改善が期待できますが、猫は構造的な要因も多いため目全体の評価が不可欠です 。

Q3. 自宅でできるケアは?A. 以下の3つを心がけてください。

  • 目の周りを清潔な綿などでやさしく拭く
  • 目元の毛を清潔に、短めに保つ
  • 皮膚が赤くなる前に早めに病院へ相談する

まとめ

猫の流涙症は「体質だから仕方ない」と諦めがちですが、原因を整理して一つずつ対応することで、猫ちゃんの不快感を減らし、健やかな状態を維持することができます 。

愛猫の表情がいつもと違う、涙が多いと感じたら、千葉県柏市の岡部獣医科病院までお気軽にご相談ください。