【飼い主さん必見】ペットの熱中症対策と自宅でできる応急処置。


夏の暑さが厳しくなると、犬や猫などのペットたちも熱中症のリスクが高まります。熱中症とは、人と同じく高温多湿の環境で体温が上がりすぎることによって起こる障害です。体温が適切に下がらないことで、全身の機能に悪影響を及ぼし、命に関わることもあります。特に犬は人間よりも汗腺が少なく、体温調節が苦手なため注意が必要です。今回は、熱中症の予防方法と、万が一のときの応急処置について詳しくご紹介します。

ペットの熱中症予防|5つのポイント

① 室内の温度管理を徹底する

  • エアコンで室温を25〜28℃程度に保ちましょう。
  • 扇風機だけでは不十分。湿度管理(50〜60%)も大切です。
  • カーテンやすだれで直射日光を防ぎましょう。

② 散歩は涼しい時間帯に

  • 散歩はなるべく、早朝または日没後に行きましょう。
  • アスファルトは日中、非常に高温になります。手で触って熱く感じる時間帯は避けるようにしましょう。

③ いつでも新鮮な水を飲めるようにする

  • 複数の場所に水を置く。
  • 氷を浮かべたり、冷たい水を好む子には工夫して飲ませるようにしましょう。

④ 冷却グッズを活用する

  • 冷感マット、クールバンダナ、ペット用の保冷剤などを活用することも効果的です。
  • 屋外では携帯型の冷却スプレーや濡らしたタオルも便利です。

⑤ 車内放置は絶対NGです

  • 短時間でも車内はすぐ高温になります。
  • エンジンを切った車内は、5〜10分で命に関わる温度になりますので車内放置は絶対におやめください。

熱中症のサインを見逃さないで!

ペットがこんな様子をしていたら、熱中症の可能性があります。早めに病院で受診しましょう。

  • 激しいパンティングがある。(ハァハァと荒く速い呼吸)
  • よだれが多く粘つく。
  • 元気がない、フラフラしている。
  • 嘔吐や下痢がある。
  • ぐったりして動かない。
  • 歯茎や舌が赤くなる、白くなる。
  • 体が普段に比べて熱い。

熱中症かな?と思ったとき、自宅ですぐできる応急処置

緊急時には1秒でも早く体を冷やすことがカギです。以下の方法を試して、すぐに動物病院で受診するようにしましょう。

① 涼しい場所に移動する

  • エアコンの効いた室内で過ごす。
  • 風通しの良い場所でもOK

② 体を冷やす

  • 水道水(冷たすぎない水)をかける →首、脇の下、内股、お腹などを重点的に冷やしましょう。
  • 濡れたタオルで包んで扇風機で風を当てる。
  • 保冷剤や氷をタオルで巻いて体に当てる。(直接肌に当てない)

③ 水を飲ませる

  • 飲めるようなら少量ずつ与えましょう。
  • 無理に飲ませず、意識がなければ絶対に口に入れないようにしてください。

④ 動物病院に連絡・受診

  • どれだけ回復したように見えても、必ず獣医師の診察を受けましょう。
  • 後遺症が出ることもあるため、早めの処置が重要です

病院での診察や治療方法は?

熱中症は進行が早く、命に関わる緊急疾患です。ご自宅での応急処置を行ったあとも、**必ず動物病院を受診してください。**ここでは、動物病院での診察内容や治療法についてご紹介します。

【1】病院での診察内容

問診(いつ・どこで・どんな状態だったか)

  • 発症の状況(例:散歩中、留守中、車内など)
  • 発症時間や症状の変化
  • 応急処置の有無(冷やした、水を飲ませた 等)
  • ペットの既往歴(持病や普段の健康状態)

ポイント:到着前に「状況をメモ」しておくとスムーズです。

【2】身体検査・体温測定

  • 体温が40℃以上は熱中症の可能性が高く、41〜42℃以上は危険域です。
  • 呼吸・心拍の状態の確認
  • 歯茎や舌の色、意識レベル、脱水の程度をチェックします。

【3】必要に応じて血液検査・超音波・レントゲン検査

熱中症では、多臓器不全のリスクがあるため、以下のような検査を行うことがあります。

  • 電解質バランス(Na、Kなど)の異常チェック
  • 肝臓・腎臓の数値
  • 血液の凝固異常や脱水の程度
  • 心臓や肺への影響を調べる画像検査

【4】主な治療方法

冷却処置の継続

  • 点滴や冷却ブランケットなどで安全に体温を下げていきます。
  • 氷水などで急激に冷やしすぎるのは危険なので、病院では慎重に行います。

静脈点滴

  • 脱水改善、電解質補正、血圧維持などを目的に行います。

酸素吸入

  • 呼吸が苦しそうな場合には酸素室酸素マスクでサポートします。

薬剤治療

  • 痙攣がある場合は抗けいれん薬を投与します。
  • ショック状態が見られる場合はステロイド剤などを投与することもあります。

【5】入院が必要な場合も

症状が重い場合や臓器にダメージがある場合は、24時間のモニタリングが必要になることもあります。

  • 入院期間は1日~数日間程度が目安です。
  • 回復しても、数日後に後遺症(腎不全や肝障害など)が出ることもあるため、経過観察が大切です。

まとめ|動物病院の受診は「迷わず・すぐに」

ペットの熱中症は、「飼い主の注意」で防げる病気です。ちょっとした工夫で大切な家族の命を守ることができます。「うちの子は元気だから大丈夫」と思わず、しっかり予防を行い、万が一のときの対応も覚えておきましょう。少し元気になったように見えても、内臓にダメージが残っていることがあるため、必ず病院での診察を受けましょう。