犬の流涙症(涙やけ)は「体質」とあきらめないで。原因の整理と治療のアプローチ


「毎日拭いているのに、すぐに目の下が濡れてしまう」「涙やけの色がどんどん濃くなっている……」 そんなお悩みをお持ちの飼い主さんは少なくありません。

実は、これらは流涙症(りゅうるいしょう)」と呼ばれる状態です 。 流涙症は特定の病名ではなく、「涙が目の外にあふれ出している状態」を指します 。多くの場合、原因は一つではなく、複数の要因が重なり合って起きています 。

今回は、流涙症が起こる仕組みと、当院が大切にしている「原因に応じた対応ポイント」について解説します。

涙があふれる仕組み:なぜ「涙やけ」になるのか?

本来、涙は目を潤した後、目頭にある「涙点」という穴から「鼻涙管(びるいかん)」を通って鼻の奥へと流れていきます 。

この排出経路が詰まったり、涙の量や質、あるいは目の構造のバランスが崩れたりすると、行き場を失った涙が顔にあふれ出し、被毛を濡らします 。これが空気に触れて変色し、細菌が繁殖することで「涙やけ」となるのです。

病院での診察:何を確認し、どう対応するのか

流涙症の改善には、「何が原因で、だから何をするのか」を整理することが欠かせません 。当院では以下のポイントを順番に確認し、最適なケアをご提案します。

① 物理的な刺激(まつ毛・被毛)の確認

  • 逆さまつ毛や、変な位置から生えている毛が角膜に触れていないか診察します 。
  • 刺激となっている毛を抜去します。これだけで涙の量が劇的に減ることもあります 。

② 涙を吸い出す「毛」の確認

  • 特に小型犬や短頭種では、目頭(涙丘)の毛が「導火線」のように涙を外へ吸い出していることがあります 。
  • 原因となる毛を抜去し、定期的なケアで流れ落ちるのを防ぎます 。

③ 涙の通り道(出口)の確認

  • 染色液を使い、涙の入口(涙点)や通り道(鼻涙管)が詰まっていないか調べます 。
  • 涙点が小さければ「ブジー」という器具で拡張し、通りが悪ければ「鼻涙管洗浄」を行い、排出をスムーズにします 。

④ 涙の「質」とまぶたの機能

  • 涙を蒸発から守る「油分(脂)」が、まぶたの縁にある「マイボーム腺」から正しく出ているか確認します 。
  • 脂が詰まっている場合は、温罨法(蒸しタオルで温める)やマッサージ、内服治療などで涙の質を改善します 。

よくあるQ&A:飼い主さんの疑問にお答えします

Q1. 食事で治りますか?

A. 食事だけで涙の量を止めるのは難しいですが、涙やけの色(着色)が変化することはあります 。個体差はありますが、魚ベースのフードに変えて色が薄くなったケースも見られます 。ただし、食事はあくまで「補助」と考え、まずは目の原因を確認しましょう 。

Q2. 小型犬に多いのはなぜ?

A. はい、小型犬(トイ・プードルなど)は、生まれつき涙を溜めておくスペース(涙湖)が浅い構造を持っている子が多いためです 。この場合、完全に止めることよりも、ケアによって日常生活でコントロールすることを目指します 。

Q3. 自宅でできることは?

A. 以下の4つが効果的です 。

  • こまめな目の周りの清拭(清潔を保つ)
  • 温罨法(まぶたを温めて脂の通りを良くする)
  • 目の周りの毛を短く整える(物理的刺激を減らす)
  • 目をこすらないよう注意する

まとめ

流涙症は「体質だから仕方ない」と諦めてしまいがちですが、原因を一つずつ整理していけば、多くの場合で症状を和らげ、快適に過ごせるようになります 。

愛犬のた瞳を守るために、気になる症状があればいつでも岡部獣医科病院までお気軽にご相談ください。一緒に最適な解決策を見つけていきましょう。