犬の膿皮症について解説

愛犬の皮膚に赤みが出たり、強くかくなどの行為をしていることはありませんか?そのような場合は「膿皮症」かもしれません。膿皮症とは、皮膚に細菌が感染して炎症や膿(うみ)を伴う皮膚病です。犬では比較的よく見られる皮膚トラブルのひとつです。
多くの場合は、スタフィロコッカス属(Staphylococcus pseudintermedius)という菌が原因です。この菌は犬の皮膚に常在していることが多く、健康なときは悪さをしませんが、皮膚のバリアが壊れたときや免疫が下がったときに増殖し、炎症を起こします。
症状のチェックポイント
症状 | 見られる様子 |
---|---|
赤み | 発疹や皮膚が赤くなる |
脱毛 | 円形の脱毛や不規則な抜け毛 |
フケ・かさぶた | 白い粉や黄色いかさぶた |
膿疱(のうほう) | 小さな膿のたまったできもの |
強いかゆみ | かきむしる、舐め続ける、噛む行動 |
皮膚の厚み・色素沈着 | 慢性化で皮膚が黒く硬くなることも |
発症する理由について
膿皮症は単独で起こることは少なく、背景に何かしらの原因があることが多いです。
皮膚のバリア機能の低下
- アトピー性皮膚炎
- 食物アレルギー
- 乾燥、シャンプーのしすぎ
免疫の低下
- 高齢犬
- 持病(糖尿病、甲状腺機能低下症、クッシング症候群)
- ストレス
外部の刺激
- ノミ・ダニの寄生
- 傷口のなめすぎ
- 高温多湿の環境、通気性の悪い服
治療方法とケアの流れ
① 原因菌に対する治療(抗生物質)
- 飲み薬(抗生物質):通常2〜4週間程度服用(重症ならそれ以上)
- 外用薬(塗り薬、抗菌シャンプー、スプレー):局所的なケアに有効
細菌培養検査で耐性菌がいないか調べることもあります。
② スキンケア(皮膚の環境を整える)
- 抗菌成分入りシャンプー(クロルヘキシジン、ベンジルパーオキシドなど)
- 保湿ローション(セラミド配合など)
- 通気性の良い環境作り(服を着せすぎない、湿った寝床はNG)
③ 原因の精査と根本治療
- アレルギー検査(アトピー・食物アレルギー)
- 内分泌検査(ホルモン異常)
- 栄養バランスの見直し(脂肪酸・ビタミン不足がないか)
再発を防ぐには?
膿皮症は「治ったと思ってもぶり返す」ことが多い皮膚病です。再発予防が大切です。
予防のポイント
- 定期的なシャンプー(週1~2回)
- 日々のブラッシング
- 皮膚の観察(赤み・かゆみ・脱毛がないか)
- ストレスや湿気の管理
- 食事の質を上げる(皮膚の健康に良い栄養素を意識)
まとめ
膿皮症はよくある皮膚病ですが、繰り返す場合は別の病気が隠れている可能性もあります。早めの診察と、適切なスキンケア、生活管理で愛犬の快適な毎日を守ってあげましょう。
愛犬のことで気になることがございましたら岡部獣医科病院までお気軽にご相談ください。